美少女フィギュア業界のブロガーとして、20周年を迎えたmoeyo.comの管理人「もんぷち。」が、美少女フィギュアメーカーや原型師さんに、気になったことをあれこれとお聞きする、以前「moeyo.comサポーターズ」有料会員様限定記事として好評いただいたこのインタビュー記事シリーズ「もんぷち。が聞く!」が、20周年の期間限定で復活!今回は、様々な商業原型に携わり、近年はガレージキットディーラー「硫黄泉」としての活動を中心に活躍中のベテラン原型師 「zenko」さんにあれこれとお伺いしてきました!
*こちらは2019年8月にファンティアにて募集していた有料会員「moeyo.comサポーターズ」加入者限定コンテンツだった記事を一部加筆・修正したものとなります。基本的に当時の情報であることをご了承ください。
軽いノリでつけてしまったディーラー名「硫黄泉」
もんぷち。(以下 も):本日はよろしくお願いいたします!早速ですが、zenkoさんの原型指名および、zenkoさんのディーラー名である「硫黄泉」のネーミングの由来を教えて頂けますか?
zenko(以下 z):zenkoは本名”善幸”の音読みをローマ字っぽくしたものです。
高校時代のニックネームでもありました。
「硫黄泉」というネーミングは、当時温泉巡りが好きだったことから好みの泉質を単純に名前にしたという、とても単純な理由です。
当時は飽きたらいつでも変更すればいいくらいの軽いノリでしたが、ここまで長い活動になるとは想定しておらず…。
後に改名を何度か検討しましたがすでにイメージが定着してしまっていたので断念し現在に至ります。
も:自分も軽い気持ちでとりあえず「もんぷち。」という名前にしましたが、まさか15年近くこの名前で名乗ることとは思っていませんでした…。
名前は意外と改名が難しいので、最初から熟考して決めないとですよね…。(苦笑)
実はミュージシャンを目指し音楽活動をしていた時期も。
も:zenkoさんの簡単な経歴を教えてください。
z: 宇宙戦艦ヤマト初回放送をリアルタイムで観ていた小学生..という世代です。
幼少期を都内で過ごし、以後静岡県西部に移り現在に至ります。 ミュージシャンを目指し音楽活動を続けながら平成の半ばまで普通の会社員でした。
遊び感覚で初出展したイベントで勘違い?
も:ミュージシャンを目指していたのに、どのような経緯で原型師という職に?
z: 2001年夏のワンダーフェスティバルに遊び感覚で初出展した作品「ああっ女神さまっ ベルダンディ水着Ver」が完売しちゃいまして。それで当時脱サラ熱に侵されていたこともあり、(原型師で)行けるんじゃないかと勘違いを起こしたことが現在に繋がっています。
当時実際に専業でやっていけるかどうかは、2年間ほど慎重に試算を重ねて自分なりに良きタイミングを図り、専業としてスタートしましたが、それでも当然計算どおりには行かず、失敗の連続でした。
後に商用原型の依頼が入り始めたことによって追加収入とプロモーションのアシストを得られたことが継続できた 大きな要因と考えています。
会場の卓に展示しているイメージを想像しながら原型作業を進めるスタイル
も:原型を作成する際の個人的なこだわりや、力を入れているポイントなどございましたら是非!
z: 当日会場の卓に展示しているイメージを想像しながら作業を進めるよう常に心掛けています。
も:「展示しているイメージ」というのは具体的にはこの角度から見られるだろうからここは手抜きできないな、とか、この角度からの見栄えを特にしっかり見せるようにする。とか、そういった感じでしょうか?
z: はい、その通りです。 フェチ造型ネタとして取り上げて頂く機会も多いのですが、部分的な造型の作り込みに留まらず、 魅せるにはとても多くの要素が必要なことが最近感覚として感じ取れるようになってきました。
まだまだ試行錯誤を続けていますが、実際に造型に入る何週間も前からそれらイメージをFIXする作業を行なっています。
も:なるほど、見られるイメージは大切かもですね!今までのご自身作成の作品のなかで、特に思い入れのある作品などはございますか?
z: 思い入れのあるものばかりですが、強いて言えば2007年にガレージキットとして頒布させていただいた「天元突破グレンラガン ヨーコ」でしょうか。
この作品は活動の大きな転換点となりました。
ほか、最近の作品では、ユーザーさんの反応がちょっと変わりはじめたなと感じた「アズールレーン プリンツ・オイゲン」が個人的にもわりと気に入っています。
関連:「ワンダーフェスティバル 2019[冬]」 様々なディーラーブースの様子「カントリーガール」「植物少女園」「硫黄泉」(2019年02月27日掲載)
大雪のWFの日は渋滞の中車中でWF閉会
も:なにかご自身の失敗談やエピソードなどございましたら教えてください!
z: 大雪のWF(ワンダーフェスティバル2014[冬]のこと、前日に関東では珍しい猛吹雪となった)の日、首都高湾岸線渋滞の中で開場10:00~閉場17:00を迎えたことがいまも心に残っていますね…。
も:あの当時は自分も朝から慣れない雪道を1時間半かけて歩いて会場に行きましたからね…。あれは失敗というかどうしようもないというか…。(苦笑)
z: あとはやはり著名な作家さん、メーカーさんと商用原型の仕事を通じて多くのご縁が頂けたこと ですね。
一時的な仕事の枠内ではありましたがとても名誉なことでした。 いくつかのメーカー様、版元様とは現在も交流があり、貴重なアドバイスや情報を頂けることも多く有り難いかぎりです。
現在はガレージキット新作の作成を主軸に活動中!
も:なにかファンの方に一言あればお願いします。
z: ここ数年は作業日程を完全にイベント用に切り替え、ガレージキット新作の作成を主軸に活動しています。このような活動にシフトできているのも、支えて頂いているファンの皆様のおかげです。いつもありがとうございます!
も:ありがとうございました!
インタビューを終えて
「遊び感覚で初出展した作品が完売して勘違いを起こした」とご本人は茶化しておりましたが、しっかりとした実力が伴わっていなければ、初出展で完売というのはかなりすごいことですし、「勘違い」だけではこれだけ長く活動されることは難しいと思います。
物腰柔らかく、優しそうな雰囲気の人柄とは反面、芯にはしっかりと造形に対する、真摯な熱いものを持っている方なのだなと改めて感じられたインタビューでした!
次回以降も不定期とはなりますが、20周年特別記事は今年(2025年)中、継続的に復刻インタビューを掲載予定です!
moeyo.comの応援をどうぞよろしくお願いいたします!
文:もんぷち。
関連記事:WHF横浜DASH2そのほかのブースその2 【WHF横浜2レポ】(2007年09月13日掲載)